第3回 高校野球
花咲徳栄高校 深紅の大優勝旗
「花咲徳栄高校」の皆さん、優勝おめでとうございます。埼玉県が待ちに待った「深紅の大優勝旗」が荒川を超えて埼玉県に到着しました。決勝戦では、施設利用者の皆さん、職員も気分が高揚し、勝利の瞬間には歓喜の声が上がりました。今回は、特別企画として、高校野球を取り上げ、皆さんと一緒に喜びたいと思います。
埼玉県ではこれまで「投手を中心とした守りの野球」が支配的であったが、花咲徳栄高校は、長打力をつけるために、筋力トレーニングや食事を工夫したそうである。私の高校生時代とは異なり、皆さん立派な体格をしており、控え選手でも長打を打つ力をもっている。試合ではデータを基にして相手チームを研究し、徹底して攻め、得点を重ねた。
投手も走り込みと綱渡りで体力強化を図ったそうである。バッテリーは強打者に対して、色々なボールを投げ、相手のスイングを見て、弱点を探し出し、決定的な仕事をさせなかった力量は見事である。その基本には、抜群の制球力があり、最小失点につながった。 これらがうまく連動し、運命の女神が徳栄高校にほほえんでくれたのであろう。
厳しい暑さ、選手の体調を考慮し、疲労によるけがを防止する観点から、複数の投手による分担制度が普及してきた。上背のある投手が150km/hのスピードボールを投げてバッターを抑え、長打力で相手を圧倒する試合も見応えがあるが、スピードの落差、コーナーワークなどを使った頭脳的な投球、またスクイズバントや盗塁などの小技も味のあるものである。
今年の甲子園の入場者数は80万人を超えたそうである。高校野球の魅力は、ひたむきに、最後まであきらめない姿勢にある。暑さ、風、雨という厳しい自然環境の中でも、普通の学生が最高のパフォーマンスを発揮できるように、日頃から仲間と共にトレーニングを積む。試合後は、勝者と敗者は一礼し、これまで支えてくれた仲間、地域の皆さんに対する感謝の言葉を述べる。そこに、高校野球の原点があるのかもしれない。
地域代表という側面も大きい。地域を挙げて応援することで、地域に一体感が生まれ、活気が蘇る。南は沖縄、鹿児島から、北は東北、北海道まで、地方色豊かな応援は見ていてもそれだけで楽しい。卒業後も野球を生業とする球児は少数派であろう。地域のスポーツ振興に一役買っていただけるとありがたい。人が健康で長生きするには、運動を欠かすことはできない。
不運な事にも耐え、最後まで全力をつくして、切磋琢磨する。時代や環境が変わっても、人はそこに有るべき青春時代の一コマを見るのかも知れない。
淡々とながれていく単調な日常の中で、わくわくしたり、ドキドキしたりすする機会が少なくなりがちであるが、若者のエネルギー、創意工夫、そして不屈の精神に、私たち施設職員は感動し、「皆さんに愛され、支援していただけるような施設を目指す」という原点を確認する機会を得た。今後、どのようなドラマが生まれるのか、楽しみである。高校野球のさらなる発展を期待したい。花咲徳栄高校そして関係者の皆さん、おめでとうございました。
社会福祉法人 優美会
特別養護老人ホーム とだ優和の杜 理事
水口 純一郎